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左ききの狙撃者:東京湾(1962年)

昭和37(1962)年に公開された、松竹制作による作品。
出演は西村晃・石崎二郎・榊ひろみ・玉川伊佐男他、監督は野村芳太郎。

麻薬捜査官の佐伯(浜村純)が白昼何者かに射殺される。犯人は左利きと断定、澄川(西村)と秋根(石崎)の2名が捜査にあたることになる。麻薬捜査官達の協力を得て、麻薬に関わる容疑者達を洗い出し、本命と目された武山(佐藤慶)を逮捕...するも、黙秘権で埒があかずに保釈して泳がせることに。そんな時、澄川は戦友の井上(玉川)に偶然出会う...のだが、井上が左利きの射撃名人だったこを思い出し、捜査を開始する。一方、井上は麻薬密売組織から澄川が刑事であることを知らされ、殺しを命じられる。が...殺しきれず、自首するため1日の猶予を澄川に頼む。しかし、井上は組織から報酬を受け取って、足を洗い、田舎へ逃げようとする...が、澄川も同じ列車に乗り込み、逮捕しようとして...という内容。

実質的な主役を西村晃が演じていることや、企画が佐田啓二であることに意外性を感じますが、何よりも...圧倒的な面白さ・スリリングさには驚きます。時間が90分に満たないことを考えると、併映作品と思われますが...どの作品の添え物だったのかが興味あるところ。
また、刑事モノということで、全編にわたって当時の東京が映し出されているのも興味深い。
冒頭...タイトルとなっている東京湾まで、空撮で当時の東京を捉える映像が映し出されます。
繁華街の代表として日比谷・数寄屋橋から銀座、住宅地の代表として団地が映されているのが時代を感じさせます。

それに続くのが、白昼のビル街に停車している車中の佐伯(浜村純)が射殺されるシーン。照りつける太陽を見上げる佐伯。その視線の先には、2年後に迫った東京オリンピックへ向けて建設中の首都高速...というのも時代を感じます。

事件の捜査本部が置かれているのが築地署。
そこから捜査に向かう澄川(西村)と秋根(石崎)を捉えるカメラ...築地署の前には掘割が流れていたり、道にはオート3輪が停まっていたり...と興味深い光景が目につきます。

その澄川の自宅を映し出すシーンでは、都営のトロリーバスが奥に確認できます。
また、別角度からのカメラにはトロリーバスが何台も停まった「車庫」らしきものも確認できます。もしかしたら、映っているのは上野と今井を結んでいた路線で、これは今井近辺での撮影かも知れません。
それにしても...トロリーバス。私が生まれた頃には既に廃止されてたので、当然ながら記憶にありません。一度乗ってみたかったですね。どんな感じだったのか...気になるところです。

麻薬絡みと睨んだ2人が捜査に向かうのが立石近辺。
当時の京成電鉄の最新型3000形がチラッと(何度も)映る線路際、バラック建ての飲み屋街や商店街が映し出されます。今だと「昔ながらの下町風情のある商店街が残る町」なんて紹介される立石ですが、これを観ると「戦後のドヤ街」を思わせる風景で、とても2年後に東京オリンピックが迫っている...とは思えません。まぁ、オリンピック関連で整備された場所が特別で、それ以外は多かれ少なかれ「オリンピックだからといって急激に町の姿が変わる」なんてことはなかった、とも考えられます。

澄川が戦友である井上(玉川)の家を訪ねる。
貸しボート屋を営んでいる井上に対して、澄川が「貸しボート屋はレジャーブームで...」なんて言うシーン。「レジャー」なんて、普段の会話で言わないですね、今。でも、当時は「レジャー」が「ブーム」だったんですね。

ラスト近く、井上が逃亡を図るシーン。浅草やら品川・押上、都電・銀座線...と色々な場所が映されて興味が尽きません。そんな中、(後半になって)何回も映されるのが「千住のお化け煙突」。色々な角度から(必ず)4本全部を映します...なんか象徴的です。


映画自体も予想以上に面白く、当時の東京も存分に見ることができる...そんないい作品ですね。





theme : 映画を見て、思ったこと
genre : 映画

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左ききの狙撃者

以前古本屋で購入した「日本映画戦後黄金時代~封切映画全リスト下巻」を参照すると
この週の主映は、井上靖の作品「春の雑木林」の映画化で「霧子の運命」になってました。やはり「左ききの狙撃者」は主ではなかったんですね。
この頃の映画は週一で封切り映画が入れ替わっていたのをこの本でわかりました。

Re: 左ききの狙撃者

ジェロームさん、こんばんわ。
って、やはり「添え物」でしたか。
それにしても...この作品が、井上靖原作の作品との併映というのも凄い感じがします。
そうですよね、当時って毎週のように封切作品が世に出てたわけですから、まだまだ埋もれている作品って、死ぬほどあると思うんです。全部観てみたいですね。

いつも、貴重な情報をありがとうございます!!!!!

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昭和30~40年代って面白い...ので、当時の映画・テレビ番組から気付いたことを気の向くまま書いています

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