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東京五輪音頭(1964年)~新旧交代~

昭和39(1964)年に公開された、日活制作による作品。
出演は三波春夫・十朱幸代・山内賢・和田浩治・山本陽子他、監督は小杉勇。

築地の青果市場で働くミツ子(十朱)は、水泳のオリンピック代表候補。だが、祖父源造(上田吉二郎)は大反対で言えずにいる。一方、三波春夫そっくりと評判の松吉がやる「松寿司」や、仲買人の正光(和田)・源造の元で働いている勇(山内)など町内は応援している。そんなある日、勇を頼って上京してきた雅江(森みどり)が、ミツ子の水泳をことを話してしまい大騒ぎに...当然源造は反対するも、町内の人達の説得により最後は折れ...ミツ子は強化合宿に合流する。が、正光がブラジルでコーヒー園を経営する叔母とともにブラジルに渡ることを知ったり、源造が交通事故にあったり...するが、最後は選抜大会で優勝する...という内容。

大ヒットした三波春夫の「東京五輪音頭」にあやかって制作された作品。
「東京五輪音頭」は競作で多くのバージョンが発売されましたが、一番売り上げが多かったのが三波春夫バージョンだったとのこと。とすると...一歩間違えれば、三橋美智也・橋幸夫・坂本九...が出演することになったとしても不思議でなかったということか。

本作品、東京オリンピック直前の高揚感、高度成長真っ只中の雰囲気を満喫できて...興味深い。
東京オリンピックといえば「高度成長期を象徴するイベント」の一つ。
この時期に、現在の都市インフラの基礎が完成したと言えます。高速道路・新幹線・高層ビル・地下鉄網...現在ではさして珍しいものではなく、日常的に利用しているものが、この時期に一気に出現したわけです。一方、それらと交代するかのごとく消えていったものもあります。

本作品においても、出現したもの・消えていくもの両者を映し出しています。

出現したものの代表格として映し出されているのが「首都高速」と「モノレール」。
羽田線でしょうか、ブラジルから一時帰国した正光(和田)の叔母を乗せた車が走行している姿。その叔母を出迎えるために羽田へ向かうモノレールは、車内の様子も映し出されます。
また、オリンピック開幕へ向けて鋭意道路工事が進む現場も確認できます。こっちは「環7」とか国道だと思われますが...
それ以外でも、現在の代々木公園に作られた「選手村」や、国立競技場・駒沢オリンピック公園も映し出されます。まるで、東京在住以外の観客に「生まれ変わった東京」を案内するように...

一方、消えていくものの代表格として映し出されているのが「佃の渡し」。
勇(山内)の実家が佃島で佃煮屋をやっているとの設定で、「佃の渡し」で佃島へ向かうシーンがあります。現在は同じ場所に佃大橋が架かっています。
佃大橋はオリンピック関連道路の一環として建設され、完成は昭和39(1964)年8月27日とのこと。そして、それに合わせて「佃の渡し」は廃止されることになります。ちなみに、本作品は東京オリンピック開会の1ヶ月前に公開されたとのことですから、公開時はまさしく「佃の渡し」廃止直後であり、もしかしたら、これが「佃の渡し」最後の姿...とも言えるでしょう。

このように、この時期は「新旧」が混在した特異な時期だったと言えるのではないでしょうか。
それがある程度の年月をかけて変化していったのであれば、その変化も殊更強調されるものではありません。しかし、この時期は「徐々に」ではなく、「一気に」新旧交代したことを考えると、ある意味「特異」な時期だったと言えるのではないでしょか。そして、この特異さが昨今の「昭和30年代ブーム」を起こした一因なのではないか...とも考えています。


最後に余談ですが...
当時の作品によく見られる「広告」絡みのシーンも複数でてきます。
「タクトステレオ」の大看板前で話すシーン、「ビールはスタイニー」と言ってスタイニービールを注ぐシーン...風邪薬の「オーゼット」も登場します。このわざとらしさが時代を感じさせます。

theme : 映画を見て、思ったこと
genre : 映画

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昭和30~40年代って面白い...ので、当時の映画・テレビ番組から気付いたことを気の向くまま書いています

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