FC2ブログ

恋文(1953年)~渋谷・109以前~

昭和28(1953)年に公開された、新東宝制作による作品。
出演は森雅之・宇野重吉・久我美子・香川京子他、監督は田中絹代。

太平洋戦争から復員してきた礼吉(森)は、出征のために結婚できなかった道子(久我)を忘れることができないでいる。ある日、戦友だった山路(宇野)と偶然に再開。誘われるままに、山路が営んでいる恋文代筆業を手伝うことになる...仕事に慣れた頃、偶然にも恋文の代筆を依頼しに道子が来店する。数年振りに再開したものの、「恋文代筆を依頼=商売女」と思い込んだ礼吉は道子を叱責...毎晩酒に溺れる礼吉を見た洋は、内緒で道子に会いに行く。そして礼吉と会う段取りまでしたものの、礼吉は断固拒否...そんな気持ちを知った道子は車が走ってくる道路へ。道子が入院した病院へ向かう礼吉は...という内容。

田中絹代が初めてメガホンを握った作品として有名な作品。
ですが...個人的には(それ以上に)興味深いシーン満載で、そりゃもう...
舞台となるのが今は亡き「恋文横丁」...そう、渋谷なんですね。
ですから、1970年代に西武と東急によって大々的に開発される前の渋谷を存分に堪能することができるわけです。これが興味深い。

まず...「恋文横丁」自体、影も形もなくなってしまって、今は「109」が建ってしまってるわけです。私が物心ついた頃には「そんな状態」だったわけで、画面に映し出される「その場所」が「あそこ」だとは俄かに信じ難い光景です。どー見ても「場末の盛り場」ぐらいにしか見えません。これが渋谷駅からすぐの場所だったとは...大変興味深い。現在だと、道玄坂をもう少し上がった所にある「百軒店」が「ほんの微かに」その雰囲気を残していると言えるのでしょうか...

また...渋谷駅も存分に映し出されます。最初に映し出されるシーン、礼吉(森)と山路(宇野)が再開するシーンでは、現存する「三千里薬局」があるため「渋谷駅」と分かるものの、勿論今の渋谷駅とは雲泥の差です。興味深いのは、ハチ公広場と井の頭線入口の間を通る道路...車が2列・3列と普通に停めてあります。それらは駐車違反とかではなく、普通に駐車スペースだったのが分かります。贅沢な使い方だなぁ...って感じです。

偶然に代筆屋に訪れた道子(久我)を礼吉が追いかけるシーンでは、井の頭線の改札口やホーム・車両まで映し出されます。これを見ると、いかに狭い改札口だったかが確認できますし、まだホームの半分以上に屋根がなかったことも確認できます。今では駅全体が「セルリアンタワー」に組み込まれてしまって、なんか「地下駅」のような感じですが...当時はまだ周囲に高い建物も少なく、今とは違って、かなり開放的だったのではないでしょうか、と想像が膨らみます。

そして...井の頭線のホームまで追いかける途中では、今のスクランブル交差点から「109」方向への風景も確認することができます。その他、道玄坂のショットとかも出てきて興味が尽きません。また、洋(道三重三)が「恋文横丁」がある一帯を説明するのに「あの三角地帯です」と言っていることも興味深い。

実は、渋谷以外にも銀座や新宿駅とかも登場するのですが...とにかく、当時の渋谷をここまで映し出されると、それ以外は「吹っ飛んで」しまう感じです。当時の東京を撮影した写真集でも「当時の渋谷」を確認することは容易ですが、映像として確認できるのは何倍も興味深いですし、貴重だと思われます。そーゆー意味で、この作品は貴重な映像資料と言えると思いますね。

theme : 映画を見て、思ったこと
genre : 映画

comment

Secret

アクセス数
ブログ内検索
プロフィール

padavona

Author:padavona
昭和30~40年代って面白い...ので、当時の映画・テレビ番組から気付いたことを気の向くまま書いています

ブログランキング

FC2Blog Ranking

QRコード
QRコード
カレンダー
07 | 2019/08 | 09
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
RSSフィード
リンク  ご自由にどうぞ!