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朝の波紋(1952年)~須田町・六本木他~

昭和27(1952)年に公開された、新東宝制作による作品。
出演は高峰秀子・池部良・岡田英次・三宅邦子他、監督は五所平之助。

貿易会社の社長秘書をしている篤子(高峰)は、英語が堪能で仕事の評価も高い。そんな彼女は2人の男性から好意を寄せられる。同僚の梶(岡田)と、篤子の家で預かっている親戚の子供健ちゃんが仲良くしている、近所に住む伊能田(池部)の2人。ある日、篤子はかなり大きな契約を獲得して奔走するが、伊能田が勤める大会社が妨害する。伊能田が手を回していると篤子は思っていたが、それは誤解で逆に伊能田が解決に尽力する。そんな中、家出をした健ちゃんを一緒に探し出す...ことから2人は丸く収まる...という内容。

戦後7年目...連合国による占領が解かれて、ようやく独立した年に公開された作品。高度経済成長はまだ先、「もはや戦後は終わった」と言われる4年前の東京の姿がいたるところで観ることができます。しかも、隅田川や浅草といった所謂「定番」な場所だけでなく、それ以外の場所を確認することができる作品です。
まずオープニング。
タイトルから出演者・スタッフ名が流れるバックに映し出される画が興味深い...車の中からの映像なんですが、どこかの繁華街。道路の中央には都電が数珠繋ぎに何台も走っています。車が左折すると、斜めに渡る電車のガードをくぐる...これは総武線(御茶ノ水~秋葉原間にある)ガードだと思われます。とすると、左折する直前の繁華街は..万世橋というか、須田町でしょう。あの辺りは、私(の世代)からすると(大宮に移転した)交通博物館がある場所、という印象しかないのですが、戦前は賑やかな繁華街であったことは文献で確認することが出来ます。何系統もの都電が集まる要所だったみたいですね...とすると、あの数珠繋ぎの都電も「繁華街たる須田町」を象徴する姿だった、ということでしょう。あの辺りが所謂「繁華街」だったということは、今からすると信じ難いですが...その一片でも確認できようというものです。

また、篤子(高峰)が会社からバスで帰宅してくるシーン。家の近くのバス停で降りるのですが、そのバス停が...「六本木」なのには驚きです(一度しか観ていないので確信はできませんが...)。今の六本木からは到底想像できない風景です。六本木が繁華街となるのは高度成長期以降であり、それ以前は米軍人相手のバーがあるぐらいの「寂しいところ」だった...というのは多くの方が指摘しています。このシーンを観ると「さもありなん」という感じです。

篤子の家で預かっている親類の子供の母親が「箱根の旅館で働いている」という設定で、篤子が箱根へ向かうシーンがあります。勿論「小田急」で...多摩川であろう川を渡る2両編成の電車。これが、ロマンスカー登場以前の特急電車なんですね。普通の一般車かな...なんて思っていましたが、車内で篤子が座っている後方に「喫茶」スペースを確認することができて、「おぉ!特急車!」だと。これがかの有名な「走る喫茶室」かぁ...と感慨深かったですね。日東紅茶と提携しての「車内での喫茶サービス(自分の席まで飲み物を運んできてくれる)」は有名だった...というのも文献(写真)のみでしか知りませんでしたが、映像で観ることが出来るとは...確か、ラストシーンでも、木に登った健ちゃんの「富士山も見える!あそこが箱根だね」という発言に対して、篤子が「そうよ。お母さん、今ごろ小田急に乗って(東京に向かって)るわ」と言いってます。

家出をした健ちゃんが見つかったのが、国分寺にある「サレジオ学園」。箱根に向かう「小田急」が登場したのですから、国分寺へ向かう「中央線」が登場したのも当然と言えましょうか。車両は現在の先々々代(くらいでしょうか)の63型。周囲は雑木林以外なーんにもありません。サレジオ学園の風景もそうですが、隔世の感があり過ぎです。

この作品では隅田川や浅草といった「定番」場所も登場しますが、それ以外の場所が興味深すぎて...楽しい作品でした。

theme : 映画を見て、思ったこと
genre : 映画

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昭和30~40年代って面白い...ので、当時の映画・テレビ番組から気付いたことを気の向くまま書いています

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