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お早よう(1959年)~テレビ・洗濯機・団地~

お早ようお早よう
(2005/08/27)
佐田啓二

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昭和34(1959)年に公開された、松竹制作による作品。
出演は笠智衆・佐田啓二・久我美子・三宅邦子他、監督は小津安二郎。

東京郊外にある平屋集合住宅を舞台に、どこにでも起こりうるであろう「庶民の日常のいざこざ」を描いた作品。笠・三宅演じる夫婦(と子供2人)の林家では、子供達が「テレビ買ってくれやい」とうるさい。両親が叱ったところ、2人の子供(中学生と小学生)は「だんまり作戦」を敢行。あげくには家出をして大騒ぎとなる...が、子供達が英語を習っている近所に住む平一郎(佐田)が探して、一緒に連れて帰宅する。すると、家には父親が購入してくれたテレビが届いていた...という内容。

上記が話の軸とはなりますが、これと言ってストーリーらしいストーリーもなく、庶民の日常を淡々と描いている...という印象です。いやぁ、こーゆーの好きですね。複雑な筋を追う必要もないので、当時の日常風景やバックを堪能することができます。
興味深いのは、「3種の神器(テレビ・洗濯機・冷蔵庫)」が家庭に普及し始めた、高度成長期初期の姿を垣間見ることができることです。勿論、映画という「作品」ですから、リアルな日常の姿ではないかもしれません。しかしながら、当時はどこの家庭でも(多かれ少なかれ)このような姿が見られたんだろうなぁ...と思うと、大変興味深いですね。

作品内では、洗濯機について言及されているシーンも見られます。林家の斜向かいの家(そこの主婦は杉村春子)が洗濯機を購入したことに対して、三宅邦子が「あれは楽なんですってねぇ」といった意味のことを言います。どの家庭にも洗濯機があるのが普通である現在から見ると、なんとも新鮮です。

また、殿山泰司演じる「押し売り」も登場します。子供の頃読んだ漫画に登場するような「いかにも」な姿ですが、そんな漫画を読んでいた私すら実物を見たことがないだけに、殿山泰司の姿を見て「漫画に描かれていた押し売りって、本物に近い姿だったんだなぁ」と関心してしまいました。さすがに現在では「押し売り」なんて絶滅していますが、「振り込め詐欺」はその現代版って感じでしょうか。

作品内で、子供達が英語を教えてもらっている青年(佐田啓二)が登場します。沢村貞子演じる姉と二人暮しで、舞台となっている集合住宅の近くにある「団地」に住んでいる、という設定です。平屋の集合住宅の屋根越しに、鉄筋コンクリートの団地が映し出されます。今から見れば、昔ながらの無味乾燥な箱型団地なのですが、このシーンを観る限り、「燦然と輝く近代的な住まい」と捉えられていたんだろうなぁ...と思われるカットです。「団地族」という言葉が流行語になった頃だけに興味深いですね。

そーいえば...団地といえば、この作品でもそうなのですが、当時の団地は玄関のドアが「内開き」なんですよね。確か「秋刀魚の味」だったか、小津監督作品を最初に観た時に気付いて、すごく違和感を感じたことを憶えています。だって、玄関で座って靴紐なんかを結んでいる時に誰かが開けたら...確実に頭直撃ですよね?いつから「外開き」になったんでしょうか。ドアが内側に開く...個人的にすごく新鮮な場面です。

小津作品は、当時の日常生活を丁寧に描いている作品が多いので、当時の風景・風俗に関心を持つ私からすると、すごく参考になる...という意味で大好きな監督です。

theme : 映画を見て、思ったこと
genre : 映画

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Author:padavona
昭和30~40年代って面白い...ので、当時の映画・テレビ番組から気付いたことを気の向くまま書いています

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