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娘の季節(1968年)

昭和43(1968)年に公開された、日活制作よる作品。
出演は和泉雅子・杉良太郎・芦川いづみ・日色ともゑ・川地民夫他、監督は樋口弘美。

寮生活をしながらバスの車掌をしているみどり(和泉)。ある日、あることがきっかけで会社を辞めた小夜(笹森みち子)への対応で、寮長の堀込(芦川)と対立する。そんな寮の雰囲気を心配してみんなを説得するのは運転手の古橋(杉)に、みどりは堀込との間柄を妬みながらも心惹かれていく。会社ではワンマンカー問題などで労使関係が喧しくなる中、みどりは兄弘一(川地)が荒れた生活をしていることに一人悩んでいた。そんな時、以前乗客と恋愛関係になって妊娠して故郷に帰っていた光枝(日色)が、故郷にいづらくなり寮に戻ってくる...も、彼女に冷たい堀込とみどりは対立する。そんな中、みどりも仕事でミスをしたり、弘一がバーのマダムと心中したりと様々なことが起こり...という内容。

吉永小百合・浜田光夫コンビと同様、和泉雅子といえば山内賢...だったはずだが、今作品では杉良太郎を相方として制作された青春恋愛作品。舞台がバス会社なだけに、当時のバスの光景やワンマンカー問題での組合活動の様子など、大変興味深い作品。
作品の冒頭、古橋(杉)の運転するバスの車内で乗客から運賃のやりとりとをする車掌のみどり(和泉)...という場面から始まる。

私が物心ついた1970年代中頃には、都内の路線バスは現在に続く「ワンマンカー」となっていたが、この当時は車掌が乗車している「ツーマンカー」が主流だった...というのは、1950~1960年代の作品を観ていればよく出てくる光景。

しかし、今作品が興味深いのは「路線バスにワンマンカー」が登場したことにより、「車掌が余剰人員になりつつある」というエピソード。
労働組合員の持田(藤竜也)が中心になり、社員達(運転手・車掌)が「ワンマンカー問題について話し合おう!」なんて言って集会を催す。そこでは「車掌のなり手がないからワンマンカーを増やすのか。」という声も出てくる。バス会社が「ワンマンカー化を見据え」て新規での車掌採用に消極的だったのか、それこそ「車掌のなり手が少なかった」のかは定かではないが、バス事業者数や輸送人員数が昭和40年代中頃(1970年、今作品公開の2年後)をピークとして減少していったことを考えると、前者であろうことは想像がつく。

また、「ワンマンカーになったら車掌がいないから、その分運転手にかかる負担が増す」とか「その結果、事故が増える」といった主旨の意見が出てくるが、今から考えると興味深い。いずれにしても、この当時、どこのバス会社でも労働組合が「車掌人員削減反対」なんて声が上がっていたのだろう...


また、今作品では川崎駅が登場したり、工場が立ち並ぶ海岸沿いを走る新幹線が出てくることから、ロケ地は川崎周辺であることが分かる。舞台となるバス会社も「新港バス」という設定だが、使用されているバスは京王バス。バスの窓に「京王帝都」の文字が堂々と書かれているのは悪い冗談か。その京王バス、いや新港バスを古橋が運転し、小高い丘で折り返す。バス折り返し所の周囲には何もない。

人口流入が激しかった高度成長期の東京。都内に住宅を確保できなかった人達が住宅を求めたのが郊外だった。このように郊外の丘陵地などが造成・住宅地化され、その住民の足として新たなバス路線が開設されていく...が、開発途上のため、終点は停留所以外はなにもない...という今作品でも観られる光景は、当時の東京郊外ではよく見られた光景だったと思われる。


このように、作品の内容それ自体は重要でないかもしれないが、当時の状況がよくわかる光景が見られる作品で大変興味深い。

theme : 映画を見て、思ったこと
genre : 映画

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昭和30~40年代って面白い...ので、当時の映画・テレビ番組から気付いたことを気の向くまま書いています

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