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ニッポン無責任野郎(1962年)~郊外と米穀通帳~

ニッポン無責任野郎 [DVD]ニッポン無責任野郎 [DVD]
(2005/09/30)
クレージー・キャッツ、団令子他

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昭和37(1962)年に公開された、東宝制作による作品。
出演は植木等・団令子・ハナ肇・谷啓・草笛光子他、監督は古沢憲吾。

源等(植木)は、ある日偶然に街で出会った明音楽器営業部長の長谷川(ハナ)に取り入って、明音楽器に入社する。が、元来無責任な源はサボってばかりで仕事をしない。そればかりか、未収金回収を命じられると、集金した500万円を自分の口座に入れて利子を稼ぐ始末。だが、次期社長の座を争う専務・常務の両者には調子の良いことを言って点数を稼ごうとする。ある日、同僚の英子(団)がガッチリ貯金しているのを知って、源は英子に猛アタック。金を持っているという嘘を信じた英子をものにした源は、単なるトランペット奏者のゲイリーと組んで、専務・常務へのホラを仕掛けるが...という内容。

クレイジー・キャッツによる「無責任」シリーズの第2弾。
「コツコツやる奴ぁご苦労さん」よろしく、植木等が縦横無尽に駆け回る。「昨日よりも今日がよく、今日よりも明日はもっといい」という右肩上がりを皆が信じて疑わなかった高度成長期ならでは...という感じで興味深い。また、本作品に限らず、クレイジー・キャッツが出演している作品は当時の光景・風俗を垣間見れるものが多く、観ていて飽きない。

冒頭、東横線が自由ヶ丘に到着するシーンからスタートします。
無賃乗車をした源(植木)が改札口を出て、駅前ロータリーから駅周辺を闊歩する場面なんて興味深い。

駅前ロータリー自体はさほど変化していませんが、駅周辺は現在の「住みたい街で常に上位にランク」される「オシャレな街」自由ヶ丘とは思えない光景で、私鉄沿線のどこにでもある駅前商店街という風情。

場面が変わると、同じ駅前のシーンでありながら、ロケ地は小田急線の成城学園前駅となっているのが分かります。
昔の駅舎を見ることができる他、小田急バスが何台か停車している駅前通り...空が広いのが興味深い。都心に限らず、成城学園前のような駅前もビルが多くなって空が狭くなったんだな...と認識させられます。

それにしても...自由ヶ丘・成城という、その後「住みたい街ランキング上位の常連」で「高級住宅地」となる場所でロケされているのが面白い。両者とも「私鉄沿線のどこにでもあるような長閑な駅前」という光景ですが、「将来はオシャレな高級住宅街になる」という先見の明のもと撮影された...なんてことではないんでしょう。


源の取り成しで結婚することになった中込(谷啓)と厚子(藤山陽子)。しかし、姑(浦辺粂子)と上手くいかずに別居することになり、中込の実家には源が住むことに...というシーン。ここでは、こんな台詞が出てきます。

「(郊外だから)この辺は空気が上手いなぁ」

そんな中込夫妻も姑と同居することを決意して実家に戻ってきます。しかし...そこで見た光景は、庭を潰して駐車場にして、キビキビ働く姑の姿。そこではこんな台詞が出てきます。

「これから路上駐車禁止だからね。駐車場にするんだ。」

なるほど...自動車を持つ人が急増して、ところ構わず駐車するようになって、道路を走行するのに支障をきたすようになってきたのがこの頃から...ということなんですね。
いや、もしかしたら...この2年後に迫った「東京オリンピック」に向けて施行された施策の一つだったのかも。「外国人に恥ずかしい姿を見せられない」と様々な施策がなされた、というのは有名な話ですから。気になるところです。
また、ラストシーンではこの実家が映し出されますが、その奥に小田急線が走っているのを確認できます。場所は祖師谷とかの世田谷区だと思いますが、その辺りで「空気が上手い」というのも...驚きです。それよりも、今は世田谷区を郊外だなんて誰も思わないでしょう...昔日の感あり、という感じです。


源が銀行窓口で預金通帳を作る場面がありますが、それも興味深い。
銀行窓口で「通帳を作りたい」と伝える源は、それに続けてこんな台詞を言います。

「これハンコ。名前と住所は米穀通帳に...」

米穀通帳が「米の配給を受ける時に必要だったもの」くらいの意味は私でも分かります。分かりますが、てっきり終戦直後2~3年くらいの話だと思っていましたから、配給も必要なくなった高度成長期真っ只中の「東京オリンピック」まで僅か2年...という時代に、(身分証明書代わりだとしても)通用していたとは驚きです。
これ、実際はいつ頃まで通用していたんでしょうか...気になります。


その他、上野公園の光景をはじめ、当時の光景や風俗を多々垣間見ることができます。観ていて飽きません。

theme : 映画を見て、思ったこと
genre : 映画

comment

Secret

米穀通帳は貸本屋さんに借りる手続きの際に
身分証明書替わりに母親が持っていくように言われた記憶があります。
当時は意味が分からなかったのですが、その後使う事はなかったです。
やはり東京オリンピックの境になくなったんですね。
植木等さんの自宅は当時通っていた小中学校の近くにありましたが
ピンポンダッシュのイタヅラが激しかったためかしばらくして東宝撮影所近くの砧へ引っ越してゆきました。

Re: タイトルなし

やはり、身分証明書代わりだったんですね。
貸本屋というのも時代ですね。私が物心ついたころにはなかったのですが、昭和30年代の作品を観ていると結構登場するので、いつも興味深く観てしまいいます。

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昭和30~40年代って面白い...ので、当時の映画・テレビ番組から気付いたことを気の向くまま書いています

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