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真白き富士の嶺(1963年)~「...てよ」~

昭和38(1963)年に公開された、日活制作による作品。
出演は吉永小百合・浜田光夫・芦川いづみ・宮口精二他、監督は森永健次郎。

病院を退院した梓(吉永)は、父親(宮口)・姉の梢(芦川)とともに転居したばかりの逗子の家で養生することになる。退院できたことに喜ぶ梓だったが、父親と梢は「先が長くない」ことを悟っていて気持ちは複雑。ある日、庭の水撒きをしていた梓は、道を歩いていた高校生の一夫(浜田)に誤って水を掛けてしまう...が、それが切っ掛けで知り合った2人は惹かれあう。そんな中、入院中から梓宛に届いてた手紙を、梓の外出中に梢が読んでしまい、ラブレターだと分かって驚く。そして、差出人であるMTを突き止めようとする。しかし、MTというのは架空の人物で梓が自分で書いていたことを梓が告白...そして、梓は死んでいった...という内容。

日活お得意の吉永・浜田コンビによる作品。タイトルは「ヨット転覆により、12人の(旧制)中学生が死亡した」という実際に起こった事故を歌った曲で、昭和15(1935)年・昭和29(1954)年には映画化もされています。が、本作品は曲の内容とは関係ない内容。吉永・浜田コンビの作品ということで、内容は予定調和的で、ある意味安心して「映し出される当時の光景等」を観ることができる作品。

なんと言っても、梢を演じる芦川いづみの言葉使いが興味深い。

「夕食はご馳走してあげてよ」
「身体はそうはいかなくてよ」
「誰も知らなくてよ」

というように、「~てよ」という言葉使いを連発してます。
勿論、本作品だけで見られるものではなく、昭和30年代の作品を観ていると「よく耳にする」言葉だったりします。これは、死語となってしまった「女性言葉」だという感じのことを読んだことがありますが、現在の耳で聞くと...何となく違和感があったりもしますが、悪くないですよね。どことなく品があって、若干「上から目線」なんだけど、嫌味が無くて、どことなく愛嬌や可愛げもあるような言い方...とでも言いましょうか。今、若い女性が使ったら逆に新鮮でいいかも。
それにしても、これはいつ頃まで「普通に」使われてたんでしょうか。気になるところです。


その梢が務めているのが洋裁学校...この言葉も死語ですね。今だったら、ファッション系専門学校というトコでしょうか。
で、それが新宿の文化服装学院という設定。新宿東口の靖国通りが遠景で捉えられているシーンも登場します。ちょうど、歌舞伎町の入口にあたるトコの横断歩道あたり。
今では中央分離帯がある片側3車線の道路ですが、この作品では、その中央分離帯のところに「デーン!」という感じで、線路が3本ある都電の停留場が映し出されています。写真ではよく見る場所ですが、このように俯瞰で捉えた映像を改めて見ると、結構違和感があって不思議な感覚に陥ります。ちなみに、角度から推測すると、ちょうどJRのガードの向こう側にある都民銀行の上あたりから撮影したと思われます。

また、梢が恋人に相談を持ちかけてるのは、市ヶ谷辺りの中央線沿いの土手上。今の法政大学辺りでしょうか。
現在は、土手上は遊歩道みたいになっていて柵もあったように記憶していますが、この作品を観ると、平気で土手の斜面で語り合ってるんですね。あそこは結構急な斜面だと思うんですが...足を滑らせて転落した...なんて事故は起こらなかったんでしょうか。気になるところです。

それ以外にも、当時の新橋駅・逗子駅が登場したり、江ノ電の藤沢駅構内を確認できたり...色々と興味深いシーンを目にすることができて...面白い。





theme : 映画を見て、思ったこと
genre : 映画

comment

Secret

「よくってよ。」という山の手言葉は今聞くと確かに違和感ありますが
昭和30年代当時に親戚の叔母さんが会話の中で使っていた記憶があります。
自分の事を「わたくし」と言っていましたね。当時の親の教育なんでしょうかね。

なるほど

ジェロームさん。こんばんわ。

やはり、そうですか。
昭和30年代は普通に使われてたんですね。

> 昭和30年代当時に親戚の叔母さんが会話の中で使っていた記憶があります。
> 自分の事を「わたくし」と言っていましたね。当時の親の教育なんでしょうかね。

ということは、すくなくとも戦前生まれの女性が最後の使用者だったんですかね。
団塊生まれの女性達は使ってたんでしょうか。
いやはや、興味が尽きません。ジェロームさん、いつもありがとうございます。
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昭和30~40年代って面白い...ので、当時の映画・テレビ番組から気付いたことを気の向くまま書いています

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